2013/06/26

バンクーバーの食卓から

東京では100%外食だったが、カナダに戻ってからは60%自炊だ。残りの40%はバイト先のまかない。恋人と別れたので自分で食事代が払えないんだよ!泣。東京で4ヶ月サボっているうちに英語力と同じくらい料理力も暴落した。少しずつ感覚を取り戻している最中。自炊すると食費は本当に安く抑えられる。一ヶ月100ドルあれば十分すぎるくらいだ。あとは1ダース16ドルの缶ビール、Caribooがあればもう幸せ。

 
一年半前初めてカナダに来た時の食料品の買い物のレシートが面白いのでまだ取ってある。あの頃はIGAの値段がバンクーバーの物価だと信じていた。今はIGAやWhole Foodsなんかオーガニック信者のヒッピーが行くところだとわかる。時々どうしても足りないものがあって行くと、その値段に腰を抜かしてしまう。たとえばわたしが普段行っている激安店の3割増し、5割増しくらいまでならまあわかる。それが6倍くらいの値段で売ってるんだからまったくオーガニックっていうのは偉いもんだ。あんなのカート一杯に買ってる人ってどういう仕事してるんだろう。わたしは農薬だって遺伝子組み換えだって着色料だって添加物だってちっとも気にしない。衛生や栄養なんか滅茶苦茶だった時代を生き抜いてきた日本の90代の老人諸君が元気すぎるくらいなんだから、人間そんなにヤワなわけないのだ。だけどもし自分が妊娠したり、子供を持ったりする時が来たらその時は気を遣うかもしれないな。

自炊のメニューはお昼はパスタが多いけど、夜はほとんど和食でときどき中華や韓国料理。ごはんはcalroseという品種のものを一度に2カップほど鍋で炊いて小分けにして冷凍している。美味しくはないけど一応許容範囲内。アジア特有の食品、加工品は高いとはいえ海外とは思えないほど簡単に手に入る。前はダウンタウンのH martやT&Tで興奮していたけど最近はもっぱらEast Broadwayの韓国系スーパーKim's。お肉やパスタ、米、乳製品、それに日用品はNo Frills。野菜はBroadway Cityhall駅の真横の八百屋、A&L Market。ちょっと遠いけど行く度に面白い発見があるのはVictoria Dr x 48thにある中華系商店Chong Lee Market。こういうインディーズ系のグロサリーは個性があるので見かけるたびにチェックするが、ここは一番お気に入り。中華料理に使うんだと思われる見たこともない食品に混じって日本でお馴染みのものにバッタリ再会し、テンションが上がる。

Chong Lee Market
604-323-8133
6399 Victoria Dr
 
オクラ 1パック$1.39
以前Kim'sで買ったものより新鮮で量も多い。
でも昔Kerrisdaleの八百屋でもっと安く売ってるの見た

沖縄料理で見かける四角豆。1パック$3.17

これもこないだ八百屋で買ったより安かったスナップエンドウ。$1.99
マヨネーズと鰹節で和えてツマミにする

こっちではあまり見かけない苦瓜

真空パックの剥き銀杏。1パック$0.89
茶碗蒸しでも作ってみようか

北京ダックは量り売りしてくれる

未だに慣れないことは、ものの単位。グラムでなくパウンド(lb)、センチメートルでなくインチが主流。買い物する時はpk(パック)やea(each=一個いくら)なのかパウンド(lb=量り売り)なのか値段の表示を良く見ること。自分の身長体重はインチとパウンドで言えるようにしておくこと。チビなのでよく面白がって聞かれる。

写真を撮り忘れたけど(ではなく、撮ったんだけど動画だったという凡ミス笑)、お肉の品揃えもすごい。中国では豚は鳴き声以外全部食べちゃうというけど、本当にありとあらゆる部位を売っている。もちろん牛と鶏も、レバーはもちろんマニアックなホルモン類がずらりと並ぶ。カップに入った豚の生き血は何に使うんだろう?スプラッター映画を撮るときに便利だなーと思った。撮らないけど。無難に手羽先を購入、里芋と一緒に煮ようと思って。

この日はカナダに来て初めて、日本で売っているようなピーマンを見つけた。こっちで売っているピーマン的なものはgreen pepperと呼ばれていてパプリカの扱いだ。baby green pepperと書かれた、わたしが日本で認識していたピーマンはビニールにぎゅうぎゅうに詰まってなんと$1、値段もbaby。うれしくて早速肉詰めを作る。醤油とオイスターソース、みりんと酒を煮詰めてとろみをつけたソースで照りよく。小さなピーマンは歯ざわり楽しく、甘くておいしーい!green pepperとは全然別物。かぼちゃの煮つけも作って栄養ある晩ごはん。

よく考えてみたらピーマンの肉詰めってピーマンのファルシーの事だよね。
肉詰めって語感あんまり好きじゃないからこれからファルシーって呼ぶ

自分で炒め物を作って美味しいと思ったことがないのだが、それは電熱線コンロのせいだという事に今更気づいた。こっちでガスコンロって見たことない。それで最近は一気に気分が萎えて煮物ばっかり作っている。わーっと具を用意したらあとは落とし蓋をして放っておいてその間にもう一品作るも良し、ビール飲みながら一休みするもよし。失敗しないし、次の日食べても美味しいし、ていうか一晩置いたほうが美味しいし、煮物最高。だけどルームメイトに説明するのが難しい。「何作ってるの?」って言われるといつも「Japanese weird stuff(日本の変な料理)」って答えてる。

こないだルームメイトや友達が数人うちに集まったからみんなでごはん食べようかということになったのだが、いつもながら欧米人が作るものは洒落ている。フランス人のニコはエビのセビーチェみたいなものとか、牛肉と野菜をスパイシーに炒めたものにしてもハーブが利いて美味しい。メキシコ人のちゃんぴは定番のワカモレ。彼の作るワカモレは世界一。ハーブとライム、青唐辛子などでマリネしたBBQ数種と、一緒にグリルで焼いたトルティーヤと削りたてのチーズ。よくこういうのがサササっと作れるなあと感心する。いつか、お酒の席だったか「どうしてちいは寿司作ってくれないの」と言われたことがある。去年パーティで作ったやんと言うと、パーティのためじゃなくてぼくたちのために作って欲しいだって笑。彼らにとっては日本は遠い遠い国であり、日本食なんかお口に合わないんじゃないかと思ってビビっているだけなの。寿司や餃子はカナダ人にも馴染みがあるみたいだけど、とにかく人に何か作ってあげるというのはすごく勇気が要る。料理というよりは自分の味覚に自信が無い。

そういえばお料理好き人の聖地、Granville island(市場)って未だに行ったこと無いんだよね。全然遠くないのに、なかなか機会がなくて。せっかくだから買い物だけじゃなくてビールも飲みたいし、日本から友達が遊びに来る時一緒に行こうかな。去年は誰も来てくれなかったけど、今年はすでに何人か来てくれる予定があってすごく楽しみ。どこに連れて行こうかな。


紫蘇がなかなか売ってないので日本から栽培キットを買ってきた。はやく育てー。

2013/06/24

Cinema Review: This Is The End


This Is The End (2013) Official Site imdb 予告編

6月17日、バンクーバー戻ってきて初のScotiabank Theatreにて鑑賞。溜まったポイントで無料でした。いえーい。なんと日本でも公開決定らしいが本当に大丈夫か?!突然訪れた世界の終わりの日を描いた作品で、地震とかTSUNAMIとか言ってたし。地震後の爆発や火災、混乱など、やっぱりあの瞬間日本にいた自分としては思い出さずにいられず、少し複雑な心境になりました。彼らにとっては映画なんだろうけど、映画の中みたいな出来事を実際体験してしまったという事の重みを改めて実感したよ。

【あらすじ】ハリウッドで成功した親友、セスを訪ねるジェイ。LAの豪邸で一通りマリファナ遊びをしたあと、アカデミー賞の司会もしたスター、ジェームズ・フランコのペントハウスで行われるパーティに出かけることに。「俺の友達にも紹介したいし」と言ったくせにジェイをほったらかしにするセス。セレブ連中のノリにちっとも馴染めず、煙草ばかり吸っているジェイ。ついに我慢できなくなり、セスをコンビニに連れ出す。「俺もう帰りたいんだけど…」と話していると突如大地震が起こり、人々が宇宙から降り注ぐ光に吸い込まれていく。あちこちで爆発が起こり、電柱は倒れ車は衝突、ハリウッドサインの真下の市街は一瞬にして壊滅状態だ。命からがら炎の海を走り抜けパーティに戻った二人は、庭に空いた巨大な穴に友人や有名人たちが落ちて行くのを目撃してしまう。とにかく外に出るのは危険そうだ。生き残ったムサい男6人で籠城するが、家の中にあるのは酒とチョコバー、シリアルにドラッグ。いつまで生きられるかわからない。ジェイはこれは聖書に書かれているアポカリプス=世界の終わりだと確信する。だとしたら救済はあるのか?世界の終わりの後には何があるのか!

ぎゃーーーー!

【感想】
セス・ローゲン、ジョナ・ヒル、ダニー・マクブライド、クレイグ・ロビンソン、ジェームズ・フランコ…それにマイケル・セラやクリストファー・ミンツ=プラッセまで、現代のアメコメ俳優が全員本人役で出演と来たら観ないわけにはいかない。劇中ではジェイ・バルチェルは一般人扱いなのだが、彼だって大スターだ。いいなと思う映画に必ず顔を出している役者たちで、彼らの顔を見ると「これはきっと面白い映画に違いない」と一気に作品への信頼度が高まる。ジェームズ・フランコのパーティで運命を共にすることになる豪華カメオ陣も全員名前=役名で出演しているのでエンドロールがおかしなことになっていた。こういう作品は先にimdbを見ないほうが面白いね。

Freaks and GeeksのMartin Starrも出てたらしい!気づかなかった
まだまだ気づいてないカメオ出演いっぱいいそう

本人役の出演者たちが『スモーキング・ハイ』『127時間』『マネーボール』『スパイダーマン』など自分たちの出演作についてセルフ・パロディしてみたり、ガチで役者論を語ってみたり、すっかりスターになったコメディ畑の俳優たちの同窓会感覚が楽しい。ジェームズ・フランコの家に飾られたFreaks and Geeksのヘタウマな肖像画にはグっときてしまった。彼が自ら描いたんだそう。あの頃はまだ無名だったセス・ローゲン、ジェームズ・フランコ、ジェイソン・シーゲルが今もこうして一緒に仕事できてるなんて素敵。でも本人'役'はあくまで役だから、映画の中でのキャラクターはフィクションなんだって。たとえばジェームズ・フランコは私生活では酒もマリファナも一切やらないし、やはりマリファナをやらないジョナ・ヒルは信仰のために神を冒涜する台詞を言うのが苦痛だったと語っている。女をはべらかし、山盛りのコカインでハイになりリアーナの尻を掴むマイケル・セラは実際には映画業界で一番いいヤツと言われているんだとか(ホッ)。かと思えばジェームズ・フランコは自身のセクシャリティやスキャンダルをネタにしてみたり(彼にゲイ疑惑があったなんて知らなかった!)どこまでフィクションでどこまでノンフィクションなのかわからないところがニクい。ちなみにジェームズ・フランコが劇中で使用しているバックパックは『127時間』で実際に使っていたものだそう。

密室の中で追い込まれていく男たちが何を始めたかというと、なんと『Pinapple Express2』の撮影!ビデオカメラはやはり『127時間』の撮影の小道具を使いまわしたらしい。本当に、どこまで映画馬鹿なんだか。映画が好き!このメンバーで映画をやるのが好き!という気持ちがいちいち伝わってきてうれしくなる。楽しそうすぎ。資金不足の監督を助けるため、メインキャストたちはギャラの大幅値下げを申し出たという。下積み時代を共にし、その後それぞれの目でハリウッドを見てきた旧い仲間たちが改めて「映画とは何か?演じるとは何か?」と議論するシーンは必見。モテないボンクラを演じ続けているのですっかり忘れてしまっていたが、彼らはいまやバリバリに成功したセレブ俳優なのだ。


野郎だらけの密室劇に華を添えるのはエマ・ワトソン。せっかく出演してくれたのにそれ以上でも以下でもない扱いに笑った。観る前からわかってたけど案の定、これは男の恋愛映画だ。アッー!この一派による一連のコメディ作品で繰り返されてきたホモセクシャル的な友情というテーマを隠さずにぶちまけている。視覚的にも男根モチーフや、射精を連想させる描写が随所に見られた。ジェームズ・フランコが「ジェームズ・フランコ」「セス・ローゲン」と描かれたでっかなドローイングを相合傘のように飾っていたり、「このペントハウスは僕の一部さ」セス「じゃあ俺今お前の中にいるんだね☆おじゃましまーす」といったやりとりに絶句するジェイ。親友が自分の知らない別の世界を持っていた事に、まるで恋人のようにショックを受け嫉妬に狂う。監督脚本を手がけたのはわたしのオールタイムベストのうちの一本である『Superbad スーパーバッド 童貞ウォーズ』(07)のコンビ。その時は女の子のキャラクターも立っていたんだけど、This Is The Endはかなり露骨にホモホモしてるのでダメな人はダメかも。


ちなみに『スーパーバッド 童貞ウォーズ』の主人公二人のモデルでもあるセスとエヴァンはバンクーバー出身。昔わたしが住んでいたすぐ近所、ケリスデールの高校に通っていたらしい。二人のレーベル名Point Grey Picturesはまんま、出身校近くのエリアPoint Greyから。本当は Dick and Balls Productions=ちんこ金玉プロダクションにしようかと思ったけどシリアスな映画作るときに困るからやめたんだって笑


【参考URL】海外の雑誌記事はwebで全文読めるのがすごい。太っ腹。それでもわたしは本で買いますが、日本で買うと高いもんね。